~迷えるこひつじ  ちょっとだけ、ブラック記憶たどります~(不登校のお話) 不登校保護者の実体験ブログ

当スクールに通っていただいている、ご家族の実話シリーズです。

目次

息子が過ごす環境

いい子ぶっても仕方ないので、つらつらと書いていきます。
中学校の環境は、おそらく、サナギ息子には合わなかったと思います。
どこか窮屈だったり、不自然で昔ながらの校則があったり、「良かれ」の束縛がある中にいながら
さらに息子はその集団では浮いてもいたので”ちょっとおかしなヤツ”という存在認定もされていて
そもそも見えない圧力のようなものの中で、不自由さを感じていたのではないかと、
だから、”素直な自分”というものの表現にも迷いがある中での毎日だったのではないかと、振り返って、今は思っています。

・・・・・・・

最初の間違い

コロナによる長期休校の頃でしたが、息子は中学3年生に進級する少し前から「塾に行きたい。」と言いました。本心なのか、親の意向のようなものを感じ取っていたのか、当時は、息子はそれなりの公立高校を目指していました。

息子は決して勉強ができないというタイプではなく、好奇心旺盛で、その知性や学力を活かす人生の進路を考えるならば、進学すること自体はごく自然な流れだったし、本人も「頑張りたい」という気持ちがあったようです。

母の私は、通塾経験がなかったので進学塾というものはどういうものかよくわからなかったのですが、ちょうど新規開校した塾のチラシに誘われるように、見学を提案しました。息子も「行ってみる。」というので母子で見学に行き、入塾試験を受けて、すんなりと、その塾に通うことになりました。

   ここが、一つの間違い

コロナ休校明けで、彼は一度不登校になりましたが、自分の意思でまた登校できるようになりました。
先生は「もう大丈夫ですよ!」と、自信満々におっしゃっていたので、本当にそのように見えたのだと思います。

  ここで、大きな認識の間違い

塾の夏季講習ではものすごく頑張って、後半の息子はクタクタでした。

二つめの間違い

今思えば、この時点で、その塾をやめる方向で考えればよかったのに(そこは早い時点で、本人のプライドを尊重する形で辞めることを誘導しても良かったように思います)だらだらとくたびれている様子に、母の私はイラっとして、生活態度に文句を言うような有様でした。

息子のエネルギー値が見えていたならば、ただただ、その様子を受容するだけで良かったのに・・・私は、「ちゃんとしなさい。ちゃんとできないなら塾なんかやめなさい。」と、ガミガミと上から言うスタンスでいました(寄り添えていませんでした)。

(そしてそのうちに本人は「(塾を)辞めない。」と、かなり頑なな様子を見せました・・・しばらくして本当に通えなくなったまま2か月経過した後の11月3日にぐったりする様子で、「頑張り切れなかった。」という言葉とともに、ようやく息子本人から”辞める”という選択をするまでは。)

   またここで、間違い・・・継続する間違いの連鎖

三つめの間違い

中学校では、息子は、文化祭と体育祭に「出ない。」と、自分から学校で申告していました。「自分はずっと嫌だと思ってたのに参加してきた。」けれど、準備が進んでしまうと迷惑になるだろうし、当日急に休むと「ずるい。」と言われるだろうし、だから、何も始まってない夏休み明けに、堂々と意思表示をしました。

ところが、学校側(特に当時の担任)は母の私までにも「参加するように言ってください」というスタンスでした。「本人の為」「少しでも参加させたい」「参加したという既成事実を作りたい」ということで、説得するような形で、また、できるだけ本人が参加できる形を模索して、わざわざ特別な案を提示して、息子に役割を与えました。

すると息子は、なぜだか一生懸命頑張ったようです。おそらく、本当の意味での彼の望む形ではなかったのに受け入れ、残り少ない力を振り絞っていたのだと思います。

ここは、母の私が介入すべきほどの大きな間違い(良い方向へ切り替える最大のチャンスだったはずなのに、何もできなかった悔しさと虚しさ、そして怒り)

その頃から、並行するように、息子は学校の授業中に、”授業への妨害”と言われるまでの混乱状態に陥っていきました。やたら大きな声で話したり、授業進行を妨害するような行動をしょっちゅうするようになったようです。

とうとう10月29日、担任の先生から、自宅に電話がありました(それまで、学校での様子はあまり聞かされていませんでした)。「あまりにひどいので、皆の前でかなり強く叱りました。指導しました。よく家で言っておいてください。」と。その時は私もショックで、あまり具体的な内容は聞けませんでした。そして、そのすぐ後に帰宅した息子に「学校で何があったの?」と、反射的に言葉を発してしまったと思います。息子は一瞬、はっとしたような反応を示したと思うのですが、黙っていました。

翌日10月30日、原因不明の発熱で、息子は学校を休みました。

その後は回復して、また学校に行きましたが、数日後には実力テストに続き、定期テストを全て受けた後、その翌日からパッタリと倒れるように、学校を休み始めました。

(後で聞いたのですが、この頃の事は、息子はほとんど覚えていないようです。)

中学3年生の11月11日から、息子は完全不登校&引きこもりになりました。

もう、この時点で、手の施しようなく転落は始まっていて、一度も登校せず、高校受験もできず卒業

他にも、細かなことを挙げていけばきりがないですし、余計にわかりづらくなるので省いたところもありますが・・・
息子が”いきなりの完全不登校と引きこもりになった”原因は

★親の育て方(正しい自己決定のチャンスを奪う育て方をしてきた)
★約半年間の進学塾への通塾経験(世間の中の偏った「良い」が息子の判断の尺度になったが、それは本人のペースを乱すものだった)
★閉塞的な学校教育という名の縛り(母はこれまでの慣例で、息子よりも”学校”という小さな組織を優先し従ってきたので、結果的に息子にとって重大で不利益な事態を見逃がした)

・・・このような環境にあると、感じています(もちろん、正しいかどうかはわかりません)。

発信できなかった息子のSOS

彼は、どちらかというとエネルギー値の高い方でしたし、このまま「単なる変わったヤツ」として、別の生き方に進む可能性もあったはずでした。が、引きこもる手前で切り替える大事なポイントをことごとく逃してしまったので、どんどんエネルギーをすり減らし、逃げ場なく、心の置き場もなくなっていったのでしょう。息子も、救ってほしいというSOSを発する事ができなかったのですね。

そんな風にして一見、ギリギリまで、”形”を保っていられたのだと思いますが、突如、プツンと魂がちぎれてしまいました(いわゆる、うつ状態に陥ったのだと思います)。

どれだけ後悔しても戻りません。壊れたものは、戻りません。息子の心を守ることができなかった上に、私自身が加害者側だったと思うと、泣けてきます。泣いたところでどうしようもないのに。

・・・・・

そして現在

中卒無所属引きこもり生活4年目に突入の息子です。

おそらく今春から、かつての同級生たちの多くは大学生や社会人になるなどの、新しい生活をスタートさせているのでしょうね。

息子は、一時期の転落期とは違う、そしてうつろな表情ばかりだった時期とも違う、・・・やや穏やかな表情で、今日もパジャマ姿のまま家の中にこもってゲームをしています。人生への目的を見出すに至るまでのエネルギー値には到達していないのでしょう。

彼の心の問題の方は、回復傾向にあると感じてはいます。でも一方で、息子が一生家にいてこの生活を送ることになったらどうしよう、と、弱気に押される私の本音にも、やっぱり時々気づいてしまいます。さわやかで元気そうな若者たちを見かけた時なんて、特に。

これがあって良かった  これがベストな道だった   

本心でそう思える時は来るのでしょうか。

答えがないものと戦ってもキリがないという疲弊感情も、さんざん経験してきた

どうせなら、

時代の流れに沿うように変化しながら、自分の中で”戦わないで勝利”をしていくしかない
ついでに、古めかしい私の価値観をするっと剥ぎ取っていくしかない

この数年間という時間は、「間違いを間違いと、自分自身に気づかせるための時間」と解釈するしかない
だから今、新しい未来を受け取っていく道しか残っていない

私の息子は素晴らしいし、そもそも素敵なところがたくさんあるという事を、私は思い出すだけで良い
私の息子は、今も私にたくさんのギフトを贈ってくれていると、信じるだけで良い

完全に壊れずに、ゆっくりと私の近くで回復していこうとしてくれる、一人の尊い人の存在に、気づくだけで良い

今後、息子自身の中に明るい希望が灯る時がくるのを願いつつ、

私自身が「自分と自分の感性を大切にする」という作業を、続けていこうと思います。パソコンやスマホのようなネットの中でも、リアルな出会いや体験の中でも。もっと小さなことでも。

そうしていくうちに、息子のたくさんの余白部分に、祝福のムードが集まっていきますように。勇気って、こういうところで使っていくものかもしれないですね。

当スクールには、様々な状況で、様々な悩みを抱えていらっしゃる保護者やご家庭の方が多数通っていただいています。

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