当スクールに通っていただいている、ご家族の実話シリーズです。

長い助走の先へ 19歳息子が語った「将来」と、親の「積極的サポート」
中卒後、長い間、自分の世界で迷子になっていたような息子(19歳)が、
ついに未来への大きな一歩を踏み出そうとしています。
先日、日付が変わる頃、彼が父(私の夫)に、
将来のこととして通信制高校を視野に入れている、と話したようです。
この事を夫から翌朝聞いた時、私は一瞬驚きました。
何年も待ち続けた言葉が、本当に突然、息子の口から出たのです。
ただ、過去に想像していたような「感激に震える」というほどではなく、
「そうか、よかったね」という、安堵の気持ちが先に立ちました。
さらにその朝、本人から私に対して改めて具体的な学校名(○○高校)を挙げ、通信制高校に行く意思を示しました。
(通信制高校には4月と10月入学がありますが)
「春と秋入学なら、じゃあ4月にする。」と、来春の目標をはっきりと宣言しました。
(この時点では10月入学では準備が難しいと判断し、私が4月を勧めました。)
そして、その後の月一回のメンタルクリニック往診では、
ドクターから「何か気になることはある?」「したいことはある?」と優しく問いかけられた後、
息子は重い口を開き、「来春、○○高校に行くことにした」と、自らの意志を伝えました。
こうして親である私たちにも、専門家であるドクターにも、自分の決意を表明できた。
この事実は、彼の内側に、自立へ向かう確かなエネルギーが灯った証だと感じています。
ただ、これまでにも「なんとなくしたいけれど、できない」の繰り返しを近くで見てきたため、
手放しで喜ぶことには躊躇いがあります。
しかし、今回はどこか違う、彼の心に確固たるものが宿ったのでは、という微かな希望を親として感じています。

「見守る」という言葉の裏にある親の葛藤
不登校や引きこもりの問題に直面したとき、多くの保護者の方が、
「今はそっと見守ろう」「本人が動き出すまで待とう」とアドバイスされます。
もちろん、それは子どものペースを尊重するための、温かい言葉であり、信頼がまず大事だという証でもあります。
しかし、親の立場からすると、「見守り」の一辺倒だと、
時に「関わりを諦めている」「どうしていいか分からないから何もしない」という親の無力感が紛れ込んでいる事実を、
暗に批判されているように感じてしまう事もあります。
特に、息子がもうすぐ20歳を迎え、社会的なリミットや年金制度といった現実的な問題が迫ってくる中で、
「待っているだけでは何も変わらない」という焦燥感が増していました。
私は、専門家の方々が示唆する「見守り」だけでは、
残念ながら長期化する「ひきこもり」の深いトンネルからは抜け出せないと感じていました。
冷静な「見守り」とは別に、親もまた「積極的に動くサポート」が必要なのでは、と考えるようになりました。

「第三の繋がり」という名の積極的サポート
私が体験を通して学んだのは、サポートの中には、
「子どもの心の状態を微細に把握し、必要なタイミングで、必要な『第三の繋がり』というエネルギーをそっと供給し続ける」
という、地道で積極的な関わりが含まれるという事です。
今回の息子の決断は、決して私たち親の力だけではありません。
IPELさんの支援をはじめとした、家庭の外に積極的に求め続けた「四つの柱」という繋がりが織りなした結果だと確信しています。

私たちが得た「四つの柱」
1) リアルな「居場所」という名の安全基地
最も大きな転機の一つが、貴団体(貴社)の「FunStepSchool」です。
2023年秋から少しずつ通えるようになり、彼は安心できる「外の安全基地」を一つ手に入れました。
評価も強要もなく、ただ「ありのままの自分」が受け入れられるこの場所が、
外の世界へ出るためのエネルギーを充電する大切な場になっています。
2) 年の近い仲間との「対等な接点」(LINE)
特に今回の決断を後押ししてくれたのが、支援者であるIPELさんの息子さんとのLINEでの繋がりです。
最近、ちょこちょこと連絡をしていたようです。
年齢が近く、同じような環境を理解してくれる仲間との対等なコミュニケーションは、
親や専門家からのアドバイスとは全く違う、生きた「社会との細い接点」だったと推測します。
3) 元経験者との「希望の繋がり」(ZOOM)
月に一度、元引きこもり経験者さんとZOOMで面談する機会も設け(ほとんどゲームなどの雑談が中心ですが)、
彼の「将来」をすでに歩んでいるかもしれない先輩からの共感と現実的な視点を得ることで、
「自分にもできるかもしれない」という希望を、どこかで持てたのかもしれないと感じています。
4) 専門家による「心の土台作り」(ZOOM・往診)
毎週一回はサポステの心理士さんとのZOOM面談、そして月一回のメンタルクリニック往診。
地道な継続が、自ら将来を語れるほどの「心の土台」を築いてくれたのかもしれません。
*ザクっと書きましたが、これらの時期やタイミングはちょっとずつずれていて、ご紹介順の時系列ではありません。

悩む保護者の皆様へ:「命綱」を絶やさずに
今、過去の私たちと同じように、出口の見えないトンネルにいると感じている保護者の皆様へ。
私たち親子のこの先は、まだ不透明です。こんな事で大はしゃぎするわけにもまいりません(笑)。
ただ、今回の“見える変化”は、決して「私の頑張り」だけで生まれたものではなく、
偶然にも、彼が必要とする時に、専門家や居場所、そして仲間といった「第三の繋がり」という命綱を、
絶やさずに差し出し続けることができたというラッキーな側面と、
それらを掴む感覚を養っていったことの相乗効果もあると思うのです。
今はその事を、ただ喜ばしく感じています。
家庭の外に「程よい距離感」で介入してくれる「外の力」を借りる事、
子どもが自立するための「積極的サポート」に支援を求める事は、
決してすんなり進むことばかりではありません。
おまけに時間もかかるので、一見無駄なようにも見えます。
そして、誰かに頼ることは恥ずかしい事ではありません。
もしも、「過去の相談疲れ」で諦めてしまっているとしても、
お子さんのどこかの隙間に程よい介入をしてくれる「第三者さん」を、
新しい気持ちで探してみてはいかがでしょうか?

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