「前向きに考えよう」がつらい時に ― 認知行動療法が目指す“ちょうどよい考え方”
不登校や引きこもりのご相談を受けていると、
「もっと前向きに考えられたらいいのに」
「気持ちを切り替えてほしい」
という声を保護者の方から伺うことがあります。
一方で、お子様自身も、
「考えすぎだと分かっているけれど止められない」
「悪い方にばかり考えてしまう」
と苦しんでいることがあります。
認知行動療法(CBT)では、このような時に無理やりポジティブな考え方を目指すのではなく、「現実に即したバランスの良い考え方」を探していきます。
ポジティブ思考が正解とは限らない
例えば、学校で友達とうまく話せなかった日に、
「自分は嫌われている」
と思ったとします。
この時、
「そんなことない!みんな自分のことが大好きなはずだ!」
と考えることができれば良いのでしょうか。
実は、認知行動療法ではそうは考えません。
なぜなら、自分自身が納得できない考え方は長続きしないからです。
無理に前向きになろうとしても、
「いや、やっぱりそんなはずはない」
という気持ちが残ってしまうことがあります。
認知行動療法が目指すのは、楽観的な考え方ではなく、現実的で柔軟な考え方です。
「適応的思考」とは何か
認知行動療法では、自動思考を見直した後に生まれる新しい考え方を「適応的思考」と呼びます。
適応的思考とは、
- 現実を無視していない
- 根拠や事実に基づいている
- 自分を必要以上に責めていない
- 行動につながりやすい
という特徴を持った考え方です。
例えば、
「友達が挨拶を返してくれなかった」
という出来事があったとします。
最初に浮かんだ考えが、
「嫌われているに違いない」
だったとしても、
- 気づかなかっただけかもしれない
- 急いでいたのかもしれない
- 本当に嫌われているかどうかは分からない
という見方もできます。
これが適応的思考の一例です。
子どもを支えるのは『安心できる現実』
不登校や引きこもりの状態にあるお子様の中には、
「学校へ行ったら絶対に失敗する」
「どうせまた嫌な思いをする」
「みんな自分を変だと思っている」
と感じている方がいます。
もちろん、その背景には実際につらい経験があることも少なくありません。
だからこそ、
「そんなことないよ」
と否定するだけでは十分ではないことがあります。
大切なのは、
「そう思ってしまう理由はあるよね」
と受け止めた上で、
「でも他の可能性もあるかもしれないね」
と一緒に考えていくことです。
行動につながる考え方を探す
認知行動療法では、考え方を変えること自体が目的ではありません。
その先にある「行動の変化」が大切だと考えます。
例えば、
「学校に行ったら絶対に失敗する」
という考えしかなければ、登校への一歩を踏み出すことは難しくなります。
しかし、
「不安はあるけれど、午前中だけなら行けるかもしれない」
「保健室からなら始められるかもしれない」
という考えが持てるようになると、小さな挑戦につながることがあります。
認知行動療法は、無理に背中を押すための方法ではなく、自分なりの一歩を見つけるための方法とも言えます。
気持ちは少しずつ変化していく
興味深いことに、考え方が少し変わるだけでも気持ちや身体の反応が変化することがあります。
最初は、
- 不安が80%
- 悲しみが70%
だったものが、
新しい視点を取り入れることで、
- 不安が40%
- 悲しみが30%
になることもあります。
不安が完全になくなるわけではありません。
しかし、「耐えられる不安」になることで、新しい行動に挑戦しやすくなります。
IPELで大切にしていること
IPELでは、臨床心理士が認知行動療法の考え方を活用しながら、お子様や保護者様のご相談をお受けしています。
私たちが目指しているのは、「考え方を変えること」そのものではありません。
お子様が抱えている不安や悩みを整理し、自分自身や周囲と少しずつ折り合いをつけながら、その子らしい一歩を見つけていくことです。
不登校や引きこもりの状態にある時は、どうしても視野が狭くなり、
「もう無理だ」
と感じてしまうことがあります。
そんな時に、一緒に状況を整理し、新しい見方を探していくことが、次の一歩につながるかもしれません。
「子どもが悲観的な考えから抜け出せない」
「励ましても逆効果になってしまう」
「どう関われば良いのか分からない」
そのようなお悩みをお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
Fun Stepを運営する合同会社アイペル(大阪市淀川区)は、不登校や引きこもりの状態にある方の支援を行っております。
教室への通所やオンライン面談や家庭訪問といった方法で、お困りの方の相談に取り組みます。
当スクールでは、お子様の状態に即した形態での支援をご提供しております!
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