「相談される側」と「相談する側」は、最初から分かれているわけではない―子どもの支援で大切な「連携」のつくり方―
子どもの不登校や心の問題について相談するとき、
「先生が分かってくれない」
「学校に相談しても意味がない」
「専門家と学校では考え方が違う」
と感じることもあるかもしれません。
実際、子どもの支援に関わる大人同士が、最初からスムーズに連携できるとは限りません。
教師とスクールカウンセラー、保護者と学校など、それぞれが異なる立場や考え方を持っているからです。
しかし、ときには一見すると「反発」や「否定」に見える態度の中にも、別の思いが隠れていることがあります。
今回は、スクールカウンセラーに強い反感を示していた教師との関係が、次第に協力関係へと変化していった事例から、子どもを支える大人同士の連携について考えてみます。
「専門家に何が分かるんだ」という反発
ある中学校に赴任したスクールカウンセラーは、まず教師たちとの関係をつくるため、研修会を開きました。
そこに途中から入ってきた一人の教師は、明らかにスクールカウンセラーに対して反発している様子でした。
生徒への関わり方について説明をすると、
「そんなことは、経験のある教師なら一人でできます」
といった趣旨の厳しい質問を投げかけてきました。
その態度からは、
「学校現場を知らない専門家に、教育について口を出されたくない」
という思いが感じられました。
しかし、スクールカウンセラーはそこで対立しようとはしませんでした。
「もちろん、一人でさまざまな関わりを行える先生はたくさんいると思います」
と、教師として積み重ねてきた経験を尊重した上で、自分の考えを伝えました。
ここで大切なのは、「どちらが正しいか」という勝ち負けにしないことです。
専門家には専門家としての知識があります。一方で、教師には毎日子どもたちと接する中で積み重ねてきた、現場ならではの経験があります。
本来、それらは対立するものではありません。
子どもの小さな変化が、関係を変えることがある
その教師は、しばらく研修のため学校を離れることになりました。
その間、スクールカウンセラーは、その教師が担任する不登校の生徒と関わることになりました。
そして教師が戻ってきたとき、ある変化が起こりました。
それまで教師から声をかけられてもほとんど反応しなかった生徒が、久しぶりに担任の教師を見て、笑顔を見せたのです。
さらに、ほんの少しだけ手を振りました。
スクールカウンセラーは、面接の終わりにいつもその生徒に手を振っていました。生徒も少しずつ、それに応じるようになっていたのです。
その小さなやり取りが、教師との関係にも広がったのかもしれません。
この出来事をきっかけに、スクールカウンセラーに反発していた教師の態度は大きく変化しました。
やがて自分から、別の生徒について相談するようになったのです。
人と人との信頼関係は、長い説明や立派な理論だけで生まれるわけではありません。
「子どもが少し変わった」「実際にうまくいった」
そうした小さな実感が、人の考え方を変えることがあります。
強い態度の裏には、不安や責任感があることも
その後、その教師は積極的にスクールカウンセラーへ相談するようになりました。
さらに、自分だけでなく、同僚にも、
「スクールカウンセラーに相談してみたらどうか」
と勧めるようになったといいます。
最初は強い反発を示していた人が、なぜここまで変わったのでしょうか。
一つには、その教師自身が、子どもの支援に強い責任感を持っていたからかもしれません。
特別な配慮を必要とする子どもと多く関わってきた人ほど、
「自分の対応で本当にいいのだろうか」
という不安を抱えていることがあります。
その不安をそのまま表現するのではなく、
「専門家に何が分かるんだ」
という反発の形で表してしまうこともあるでしょう。
もちろん、反発的な態度をすべて好意的に解釈する必要はありません。
ただ、反発の奥に何があるのかを考えることで、関係が変わる可能性が生まれることもあります。
子どもを支えるために、大人同士も「同じ現場」に立つ
子どもの支援では、保護者、教師、スクールカウンセラーなど、さまざまな人が関わります。
それぞれに役割があり、ときには意見が食い違うこともあります。
しかし、子どもの支援において大切なのは、誰か一人が「正しい答え」を持つことではありません。
それぞれが、
「この子のために、今できることは何だろうか」
という方向を共有しながら関わっていくことが重要です。
専門的な知識と、日々の生活の中で得られる実感。
客観的な視点と、毎日そばにいる人の経験。
それらは本来、どちらか一方を選ぶものではなく、お互いを補い合うものなのだと思います。
IPELで大切にしていること
IPELでは、不登校や引きこもりなどの問題を、本人だけの問題として考えるのではなく、その方を取り巻く環境や、人との関係も含めて理解することを大切にしています。
また、支援者や保護者、学校の先生の中にも、それぞれの立場からの思いや考えがあります。
「考え方が違うから連携できない」と考えるのではなく、その違いを丁寧に整理しながら、本人にとってより良い関わり方を一緒に考えていきます。
不登校や引きこもりの支援では、すぐに答えが見つからないことも少なくありません。
そんなときこそ、誰か一人がすべてを抱え込むのではなく、周囲にいる人たちが少しずつ役割を分けながら支えていくことが大切です。
IPELでは、心理学的な視点をもとに、ご本人やご家族のお話を伺いながら、必要に応じて学校などとも連携し、その方に合った支援を一緒に考えていきます。
「誰に相談すればいいのかわからない」
「学校との関係に悩んでいる」
「子どもの支援について、家庭だけでは抱えきれない」
そのようなときも、まずはお気軽にご相談ください。
Fun Stepを運営する合同会社アイペル(大阪市淀川区)は、不登校や引きこもりの状態にある方の支援を行っております。
教室への通所やオンライン面談や家庭訪問といった方法で、お困りの方の相談に取り組みます。
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