「何もしない」は、本当に何もしていないのか? ― 不登校・引きこもりの子どもを理解するために

「毎日、部屋でゲームばかりしています」
「学校にも行かず、勉強もしないで、ずっと寝ています」
「何かを始めようという様子が、まったく見られません」
不登校や引きこもりについてご相談いただく際、このようなお話を伺うことがあります。
保護者の方からすれば、子どもが何もせずに過ごしているように見える時間は、不安なものだと思います。
学校に行っている同年代の子どもたちは、授業を受け、友人と交流し、進学や就職に向けて少しずつ準備を進めている。
それに比べて、わが子は一日中部屋で過ごしている。
「このまま何年も経ってしまったらどうしよう」
そう感じるのも、無理のないことです。
しかし、ここで一つ考えてみたいことがあります。
私たちは、目に見える行動がないことを、そのまま「何もしていない」と考えてしまっていないでしょうか。

目次

「何もしない」という行動にも、意味があるかもしれない

心理学では、人の行動を理解するとき、その行動がどのような役割を果たしているのかに注目することがあります。
例えば、学校に行こうとすると強い不安や緊張を感じる子どもがいたとします。
その子にとって、学校を休むことは、不安や緊張から一時的に距離を置くための行動かもしれません。
人との関わりに強い疲労を感じている人にとっては、自室で過ごすことが、心身の負担を減らすための方法になっている可能性もあります。
もちろん、すべての不登校や引きこもりが、こうした理由によるものではありません。
ただ、外から見ると「何もしていない」ように見える状態が、本人にとっては、何らかの困難に対処するための行動になっている場合があるのです。
ここで大切なのは、「何もしないことにも意味がある」と考えることと、「何もしなくても問題ない」と考えることは違うという点です。
本人の行動を理解することは、その状態を無条件に肯定することではありません。
むしろ、その行動がどのような役割を果たしているのかを理解することで、初めて別の選択肢を考えられるようになるのです。

「ゲームばかりしている」のは、なぜだろう

不登校や引きこもりの方について、ゲームやインターネットの利用を心配される保護者の方は少なくありません。
確かに、昼夜逆転や睡眠不足、生活リズムの乱れにつながっている場合には、対応を考える必要があります。
しかし、ゲームをしているという事実だけで、その行動を問題と決めつけることはできません。
例えば、ゲームの世界では、自分の行動に対する結果が比較的明確に示されます。
努力すれば経験値が増え、課題を達成すれば報酬が得られる。
現実の人間関係では、自分がどれだけ努力しても相手から評価されるとは限りません。しかし、ゲームの中では、一定のルールに従って成果を得られる場面が多くあります。
また、オンラインゲームが、本人にとって数少ない他者との交流の機会になっていることもあります。
そう考えると、ゲームに没頭することは、単なる現実逃避ではなく、現実の生活では得られにくくなっている達成感や安心感、人とのつながりを補う行動になっている可能性があります。
もちろん、だからといってゲームを無制限に続けることが望ましいわけではありません。
ただ、本人にとってゲームがどのような意味を持っているのかを理解しないまま取り上げてしまえば、本人が頼りにしていたものを失わせることにもなりかねません。
「どうすればゲームをやめさせられるか」
と考える前に、
「この子はゲームの中で、何を得ているのだろう」
と考えてみることも、一つの方法ではないでしょうか。

「休むこと」と「回復すること」は同じではない

ここまで、何もしていないように見える状態にも意味があるかもしれない、とお話ししてきました。
しかし、もう一つ大切なことがあります。
それは、休んでいることが、必ずしも回復していることを意味するわけではないということです。
学校に行かなくなったことで、強い不安や疲労が軽減される場合があります。
一方で、学校に行かない生活が長く続くうちに、生活リズムが乱れたり、人と関わる機会が減ったり、将来への不安が強くなったりすることもあります。
最初は心身を守るために必要だった行動が、時間の経過とともに、新たな困難を生み出すこともあるのです。
例えば、人と関わることが怖くて外出を避けている場合、外出しないことで一時的に安心できるかもしれません。
しかし、外出を避け続けることで、人と関わることへの不安が維持されてしまう場合もあります。
そのため、不登校や引きこもりの支援では、休息の必要性を認めることと、本人が少しずつ活動の幅を広げられるように支えることの両方が大切になります。
ここで必要なのは、無理に学校へ行かせたり、外出させたりすることではありません。
今の生活が本人にとってどのような意味を持ち、これからどのような変化が必要なのかを、一緒に考えていくことです。

「見守る」とは、何もしないことではない

不登校や引きこもりの支援では、「焦らず見守りましょう」という言葉がよく使われます。
しかし、保護者の方からすれば、
「見守るといっても、具体的に何をすればいいのかわからない」
と感じることもあるでしょう。
見守ることは、本人に何も働きかけないことではありません。
例えば、本人が話しかけてきたときに応じられる関係を保つこと。
本人が興味を持っていることについて、評価や説教をせずに話を聞いてみること。
生活上の困りごとがあるときに、一緒に解決方法を考えること。
必要に応じて、本人の負担にならない範囲で、新しい活動や相談先を提案すること。
こうした関わりも、見守ることの一部です。
また、保護者自身が疲れ切ってしまわないように、自分の生活や楽しみを大切にすることも重要です。
子どもの生活が停滞しているように見えるとき、保護者まで自分の生活を止めてしまう必要はありません。
本人の状態を尊重することと、家族全員がその状態に合わせて生活し続けることは、同じではないからです。

変化は、必ずしも目に見える形で始まるとは限らない

不登校や引きこもりの状態から変化が生じるとき、それは必ずしも「学校に行く」「アルバイトを始める」といった分かりやすい行動から始まるわけではありません。
以前よりも家族との会話が増える。
自分の好きなことについて話すようになる。
将来について、少しだけ関心を示す。
これまで避けていたことに、興味を持つようになる。
そうした変化が見られることもあります。
もちろん、これらの変化が必ず登校や就労につながるわけではありません。
それでも、本人の生活や心理状態を理解するうえでは、大切な手がかりになります。
私たちは、学校に行くことや働くことのように、社会的に評価されやすい行動に目を向けがちです。
しかし、そこに至るまでには、外からは見えにくいさまざまな変化があるかもしれません。
だからこそ、「何ができるようになったか」だけではなく、「本人の中で何が変わりつつあるのか」にも目を向けることが大切なのだと思います。

IPELで大切にしていること

私たちIPELでは、不登校や引きこもりの状態にある方について、目に見える行動だけで判断しないことを大切にしています。
「学校に行かない」
「働こうとしない」
「ゲームばかりしている」
こうした行動を、単に本人の意欲や努力の問題として捉えるのではなく、その行動がどのような背景から生じ、本人にとってどのような意味を持っているのかを考えます。
そして、本人が今の生活の中で何を大切にしているのか、どのようなことに困っているのかを理解しながら、少しずつ選択肢を広げていくことを目指しています。
また、不登校や引きこもりについて悩んでいるのは、ご本人だけではありません。
保護者の方も、日々さまざまな不安や葛藤を抱えていらっしゃると思います。
「このまま見守っていていいのだろうか」
「何か働きかけたほうがいいのだろうか」
「本人にどう接すればいいのかわからない」
そんなときには、保護者の方だけでご相談いただくこともできます。
Fun Stepでは、臨床心理士によるカウンセリングをはじめ、通所・オンライン・家庭訪問など、それぞれの状況に応じた支援を行っています。
本人を無理に変えるのではなく、今の状態を一緒に理解し、これからできることを考えていく。
私たちは、そんな関わり方を大切にしています。
不登校や引きこもりについてお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

Fun Stepを運営する合同会社アイペル(大阪市淀川区)は、不登校や引きこもりの状態にある方の支援を行っております。
教室への通所やオンライン面談や家庭訪問といった方法で、お困りの方の相談に取り組みます。

当スクールでは、お子様の状態に即した形態での支援をご提供しております!
ご興味ある方はお問い合わせくださいね!

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